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書評「がん告知―患者の尊厳と医師の義務」
武田 文和
1,2
1埼玉医科大学包括地域医療部
2埼玉県健康づくり事業団
pp.610
発行日 2001年3月25日
Published Date 2001/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103203
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昭和43年医学部卒業の臨床医が中心になって書かれたユニークな本である.学園紛争の最中に卒業の時を迎えた私の周囲にいた彼らの仲間の多くが,当時の学園紛争を冷静に見つめ,新しい未来に期待をかけ力を蓄えようとの意気込みで医師としてのスタートを切ったと記憶している.その後,多くの経験を積み,今やがん患者の診療を担う主力臨床医に成長した著者らの手によってまとめられた本書は,たのもしい限りである.
本書は,患者の人権を守るために行うがん告知のガイドライン,告知の実際と問題点,分担執筆者それぞれの専門分野からがん患者に病名や病状を伝えるために留意すべき点を具体的に論じ,しばしば遭遇した困難なケースについても考察している.本書を読んだ書評者自身は,“がん患者と真実を語り合うこと”の実現に向けて埼玉県立がんセンターで全職員とともに進めた15年間の努力の経緯の中の1つ1つを想起し,同感する点が多かった.
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