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編集後記
松川 正明
pp.612
発行日 2001年3月25日
Published Date 2001/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103204
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潰瘍性大腸炎の治療には的確な診断が欠かせない.潰瘍性大腸炎の診断については積極的な診断と類縁疾患の除外がある.欧米に比べわが国の診断基準は内視鏡・X線所見について詳細な記載があることが明らかになり読者にとって安心できるところである.典型的な所見として直腸から口側へびまん性に拡がる炎症所見から潰瘍性大腸炎と積極的な診断がなされてきた.しかし,このような所見を呈する潰瘍性大腸炎は多いが,少数例ではこのような所見よりも非典型的な区域性病変または散在性病変が目立ち,診断に苦慮することがある.特に,発症間もない症例では散在性びらんを主体とした所見でみられることが発表された.左側大腸炎型や直腸炎型で虫垂開口部にみられる炎症について述べられているが,この病変の臨床的意義はいまだ不明である.潰瘍性大腸炎の長期経過例でしばしば区域性に活動性所見をみることは既報とほぼ同様である.
潰瘍性大腸炎の症例で大腸以外の胃・小腸病変について,本号により詳細な内視鏡・X線所見ならびに病理組織学所見が明らかとなった.潰瘍性大腸炎でも大腸以外の消化管病変に注意する必要があり,実際診療上に有益な情報であり,注意深く拝読した.
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