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毎年シカゴで開催されている北米放射線学会(Radiologic Society of North America;RSNA)は,8万人が参加するビッグイベントである.そのRSNAの最大の呼び物として,日曜日夕方にArie Crown Theaterで開催されるimage interpretation sessionの面白さを誌上に再現することを目的に企画されたシリーズの8冊目として,「フィルムリーディング・シリーズ5消化管」が出版された.
本書は,消化管の解剖と最近の話題をまとめた総論と,79例の症例(食道9,胃18,十二指腸11,小腸12,大腸15,直腸6,腸間膜・腹膜8)から構成されている.1症例につき表裏2頁で,表側に部位と異常所見を組み合わせたタイトル(例;表面平滑な球部隆起性病変),年齢,性別,主訴,現病歴とともに消化管造影を中心とした各種の画像が提示されている.そして裏側に所見,鑑別診断の進め方,診断,診断のポイントという項目立てで診断のプロセスが詳細かつ丁寧にまとめられている.更に疾患についての一般的知識をまとめた囲み記事として「病気の豆知識」と1~3点の参考文献が記載され,最後に☆から☆☆☆までの3段階に分けられた難易度マークが示されている.執筆者は,あくまでもオーソドックスな消化管二重造影を中心に据える八巻悟郎氏(食道担当)と松井敏幸氏,綿密な所見の拾い上げと分析で病態にせまる森山紀之氏(胃担当)と黒田知純氏(大腸担当),内視鏡/超音波内視鏡を駆使して病理像にせまる川元健二氏(十二指腸/大腸担当),基本に忠実な一方でひねりをきかせた読影に定評のある齊田幸久氏(編集/腸管膜・腹膜担当)など消化管の超エキスパートぞろいである.
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