Update '99
"がん告知"に思うこと
武田 文和
1,2
1埼玉県県民健康センター
2埼玉医科大学
pp.23
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902631
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患者がインフォームド・コンセントに至る過程の第一歩は,医師が病名や病状を本人に説明することである.この第一歩の多くがおろそかにされているのががん患者の場合である.がん告知という呼び方が問題を象徴しているように思う.医師であるわれわれがこの問題を真剣に取り上げ,是非のいずれに帰着するにしても説得力のある考え方を持つようになるべきで,患者が気の毒,家族の意見などという感情論に左右されていてはいけない.
そう思って,埼玉県立がんセンターで医師や看護婦と共に考え,心身両面の苦痛への対策を充実させながら行動して10年が経過したとき,患者本人に真実を伝える率が98%となった.そうなるにしたがい患者との意思の疎通が率直となり,心の衝撃を乗り越えて,自分の人生を自分で決めながら闘病する患者の姿が日常的となった.その過程では次のことを検討したが,読者はどんな感想を持つだろうか.
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