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“若い外科医諸君よいざ集まらん,この場所へ!”と叫ぶがごとく訴えかけている手術書,外科手技解説書である.今日までに発行されてきた教科書の型に真似て新たな教科書を完成させようとすることはやさしかろうが,本書はそこからの脱却を目指した,21世紀に向けた新しい形の教科書と言えよう.カルテ,そして手術記録の記載により自ら学ばんとする積極的姿勢のある若い外科医,そしてたとえ指導的立場あるいはそれに至らんとしている中堅外科医においても,是非読んで(観て)いただきたい教科書である.また,いざというときのためにも,大切な座右の書の1つとして側に置いていただきたいと考える.本書からは,手とり足とりコツとポイントを教えて下さるかのごとき情熱が伝わってくる.これぞ小越教授の精神=THE OGOSHI'S SPIRITともいうべき心意気がすべての頁に満ち満ちている.たとえ安易な気持ちでイラストに眼を通し始めたとしても,気がつかぬうちに己の大脳皮質に集中力が形成されていて,のめりこんでしまう.英語記載についても外科手術記録であることを踏まえた念入りな表現となっており,留学されようとする方にも必携の書と言えよう.
自らが手術野で展開させようとする芸術をいかに発展・進歩させるかについて教わるには,何と言っても術者あるいは第一助手となって手術に参加し,執刀することが重要であるが,それと同様の比重をもって手術の技術と考え方の“コツ”と“ポイント”を,熟達・完成した外科医ならではのイラストとむだのない短い必要最小限の語句による解説から教わることができるのである.外科医から外科医へと厳しく語るがごとく,そして一方では内容的には優しく指導表現されていると思う.厳しい指導者のあのしっかりとした肉声が耳に入ってくるようである.表紙から最後の頁までのすべてを,教育上の哲学ともいうべきお考えによって浸しており,それを若い人たちに分与したいという気持ちで満たしている.加えて,めったに耳にすることのできない名医の本音も聞こえてくる.将来ある若い外科医にむだを熟知させつつもむだなく時間を過ごしてほしい,勉強してほしいという大きな期待をかけているがゆえと拝察するところである.
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