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書評「ペプシノゲン法」
久道 茂
1
1東北大学医学部
pp.71
発行日 1999年1月25日
Published Date 1999/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102928
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1998年4月,厚生省の「がん検診の有効性評価に関する調査研究事業」研究班(総括委員長:久道茂)の報告書が公表された.わが国の老人保健法の保健事業の中に取り入れられている5種目のがん検診について,内外の学術雑誌や報告書を精査し,がん死亡率減少効果を示す確かな科学的根拠があるかどうか,その証拠の質の程度はいかほどか,などについて調査した.最終的に,わが国のがん検診についての“勧告”まで行った.
その中で,胃がん検診については,“逐年のX線検査を用いた胃がん検診受診を勧奨する証拠がかなりある.ただし,検査の限界に関する十分な説明を事前に行うべきである”とまとめた.これまでの胃がん検診の有効性を評価する種々の研究,例えば,症例対照研究,時系列研究,地域相関研究,非無作為化コホート研究,生存率比較研究など,RCT(無作為比較対照試験)以外の多くの研究で,いずれも胃がん検診は胃がん死亡率を減少させる証拠がかなりあるという判断をしたのである.
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