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書評「イラスト外科セミナー 手術のポイントと記録の書き方」
前田 昭二
1
1前田外科病院
pp.970
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111331
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医師の中で最も多面性を要求されるのは外科医であろう.守備範囲の広さもさることながら,一方では,外科学をマスターした学者でなければならず,また,その学識を具象化する「手術」に長けた職人であることも要求される.どちらに片寄っても完成した外科医とは言い難いが,いくら学理に通じていても,安全,的確な手術を遂行する「手の術」がないと迷惑するのは患者である.したがって,外科に入局すると同時に,誰もが学問と実地の勉強に追われることになる.そのような外科研修医の諸君にとって,この新著はまたとない座右の書となるべき最近のヒット作と思われる.
従来,外科医がまず修得するべき一般外科の大綱はアッペ,ヘモ,ヘルニア,マーゲン,胆囊,イレウス(昨今では大腸がその座を奪いつつあるが)といわれてきた.これらはいずれもありふれた疾患とはいえ,病期,合併症の有無,患者のリスクなどによって,その手術の難易度に著しい差異がみられ,時には重篤な術後合併症を招いて,予想外の治癒遷延をみることもあり,それぞれに対して的確な判断を下し,自信をもって対応できるようになるまでにはかなりの年季を要するものである.
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