増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス抗原・抗体検査
風疹ウイルス
右田 琢生
1
1東京都立墨東病院小児科
pp.536-538
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909931
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
検査の目的・意義
風疹は風疹ウイルスの経気道飛沫感染による急性発疹性疾患で,学童を中心に流行する.発熱と発疹,リンパ節腫脹が主たる症状で,通常の経過では軽くすむことが多い.麻疹と違って不顕性感染の頻度が高い(25%)ので,正確に免疫保有の有無を知るためには臨床診断のみでは不十分で,血清検査などの実験室診断が必要である.
一般的に予後良好な疾患と考えられているが,時に脳炎(1/5,000)や,血小板減少性紫斑病(1/3,000)などの合併症が認められる.重大なのは,妊婦(4カ月まで)が風疹に罹患した場合で,胎内感染による先天異常,すなわち先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)を起こす危険性があることである.CRSでは,白内障,先天性心疾患,感音性難聴の3主徴に加え,知能障害や成長障害,小頭症などがみられる.妊娠初期の感染ほど危険が高い(1カ月11〜58%,3カ月8〜15%,4ヵ月で7%以下).このため,免疫を持たない婦人が妊娠初期に発疹性疾患に罹患した場合に,これが風疹であったかどうかの検討が必要となる.この場合,抗体価の高低よりも抗体価の変動をみることが重要である.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.