増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス抗原・抗体検査
インフルエンザウイルス
石田 正年
1
1国立予防衛生研究所ウイルス第一部
pp.539-542
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909932
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インフルエンザウイルスについて,かぜ様患者の検査を実施するためには,「かぜ」と「インフルエンザウイルス感染症」との本質的な違いを把握する必要がある.われわれは年に数回,くしやみ,鼻水,のどの痛み,咳が出て,しかも熱があってけだるい,気分が勝れないといった症状を軽重にかかわらず経験すると,「かぜ」または「インフルエンザ」に罹かったという.実際にはかぜもインフルエンザも急性の呼吸器粘膜の炎症性疾患で,これらの起因となるのは圧倒的にウイルスによるものが多く,インフルエンザウイルスもこの範疇に入る.特に寒い季節になると,いわゆるかぜ症候群ウイルスに感染する機会が多くなり,かぜで学校や会社を何日か休むことがある.このような場合,インフルエンザとして扱われがちだが,かぜ様患者の示す臨床像だけでは,他のかぜ症候群病原体に起因するものと区別しがたい.それゆえ,かぜ様患者のインフルエンザ確定診断には臨床検査が必要となる.
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