増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
免疫血清検査
65.風疹ウイルス
菅沼 優
1
1聖マリアンナ医科大学・微生物学教室
pp.1778-1780
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222754
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●風疹ウイルスについて
風疹ウイルスは,Toga virus科,Rubi virus属の非節足動物媒介ウイルスで,ヒト→ヒトの感染経過をたどると考えられている.ゲノムにsingle strand⊕ RNAをもち(図11)),capsidは正20面体構造をし,リピッドのenvelopeをもった中型のウイルス(60nm)である.ゲノムは他のpositive strand virusと同じように,mRNA構造をし,その3′末満の約1/3に,5′側からc(capsidを作る.),E2(envelopeの糖蛋白の1つを作る.E2aとE2bに切断される.),E1(同じくenvelopeを構成する糖蛋白の1種を作る.赤血球凝集能があるとされている.)の3遺伝子が存在すると考えられている.ゲノムRNAの分子量からして,他に2〜3の遺伝子の存在が考えられるが,5′末端側の解析が遅れている.RNA replicaseを合成するための遺伝子(1〜2遺伝子)を除いても末だ1〜2遺伝子の存在が予測される.
妊娠初期の婦人が感染すると先天性畸形が起こることは良く知られているが,畸形発生と関連する遺伝子(催畸遺伝子とでも言うべき)が,この中に存在するかどうか興味のあるところである.
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