特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅱ.病原体をマスターする
3.ウイルス感染症
3)風疹ウイルス
福岡 久邦
1
,
宇佐美 真一
1
1信州大学医学部耳鼻咽喉科学講座
pp.165-168
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101837
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Ⅰ 一般的特徴(疫学,分類など)
風疹ウイルス(rubella)はトガウイルス科ルビウイルス属に属する一本鎖RNAウイルスで,直形60~70nmの球状粒子で正20面体のカプシド構造をもち,外側をエンベロープで包まれている。エンベローブには赤血球凝集素,補体結合抗原の2種類の糖蛋白が存在する。血清学的には亜型のない単一のウイルスでありヒトだけが感染源となる。
上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫を介して伝播されるが,その伝染力は麻疹,水痘よりは弱い。わが国では風疹の流行は3~4年の周期を有し,しかも10年ごとに大きい流行がみられていた。最近では,1976年,1982年,1987年,1992年に大きい流行がみられているが,次第にその発生数は少なくなり,流行の規模も小さくなってきている。季節的には春から初夏にかけて発生しやすいとされるが,冬にも少なからず発生があり,次第に季節性が薄れ1年を通して発生している。
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