増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
内分泌学的検査
その他のホルモン
ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)
高橋 伯夫
1
1関西医科大学病態検査学
pp.426-427
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909885
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検査の目的・意義
流血中の心房性ナトリウム利尿ホルモン(α-ANP)は28個のアミノ酸からなるペプチドで,ほとんどは心房に局在している.その他では低濃度ながら脳,副腎,顎下腺,甲状腺などにも存在するが,流血中のα-ANPは心臓由来で,含量は少ないが産生されてそのまま放出(constitutive)される心室由来のものも心房と並んで多いものとされている.特に心不全や心肥大に伴う病態では心室でのANP遺伝子発現が亢進することから,心室由来のα-ANPはより多くなると考えられる.
他方,ANPと高い相同性を示すBNPが脳より抽出されたが,その後の研究ではANPと同様に心臓にも高濃度で存在し,ANPと同一の作用を発揮し,ANPと同時に分泌されることが明らかになった.流血中の濃度はANPの数%程度の低濃度であるが,心不全などの病態ではANPに比較してより高濃度になることから,今後はANP以上に病態診断に活用できる可能性がある.
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