増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
T3/free T3(トリヨードサイロニン/フリートリヨードサイロニン)
岩谷 良則
1
1大阪大学医学部保健学科病態生体情報学
pp.374-376
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909865
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目的と意義
甲状腺機能を知るために測定する.ただし,甲状腺ホルモン1)にはT4(サイロキシン)とT3(トリヨードサイロニン)の2種類があり,T4が100%甲状腺でつくられるのに対して,T3は約20%が甲状腺から産生され,残りの約80%が末梢組織でT4からT3へ変換されることによりつくられている.T3はT4に比し速効性で,甲状腺ホルモン作用が強い.さらに,甲状腺ホルモンの大部分は甲状腺ホルモン結合蛋白に結合して血中を循環しているが,実際に末梢で生理作用を発揮しているのは遊離型のホルモンである.したがって,甲状腺機能を正確に把握するためには遊離型甲状腺ホルモン(free T4,free T3)を測定する必要がある,また,free T3はfree T4よりも甲状腺機能亢進状態をより鋭敏に検出する点で有用である.しかし,複雑な甲状腺疾患の病態を正確に把握するには,free T3,free T4,TSHの3項目を必ず同時に測定する必要がある.
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