負荷機能検査・35
トリヨードサイロニン抑制試験
大滝 幸哉
1
Sachiya OHTAKI
1
1宮崎医科大学医学部附属病院検査部
pp.1489-1493
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911720
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視床下部—下垂体—甲状腺系のフィードバック機構
視床下部—下垂体—甲状腺系においてもフィードバック機構が存在し,甲状腺は副腎や性腺の内分泌腺と同様に間脳視床下部—下垂体前葉の調節を受けている(図1).視床下部から放出されるTSH放出ホルモン(TRH)は下垂体前葉のthy-rotroph (TSH分泌細胞)を刺激して甲状腺刺激ホルモン(thyrotropin;TSH)を分泌させる.TSHは甲状腺を刺激して甲状腺ホルモン(thyro-xine;T4とtriiodothyronine;T3)の合成段階を促進しT4やT3を分泌させる.T4とT3の正常総血中濃度はそれぞれ約8μg/dl,120ng/dlで大部分が輸送蛋白と結合し,T4の0.03%(2ng/dl)とT3の0.3%(0.28ng/dl)が遊離型で存在する.甲状腺ホルモンの活性型はT4よりむしろT3と一般的に考えられており,T3の1日崩壊量の約20%は甲状腺より分泌されるが80%以上はT4が末梢組織で脱ヨードされてT3が生成される.一方下垂体のthyrotrophは血中のT4やT3の遊離型の濃度を感知し,これらの低下に対応してTSHを分泌する.これはネガティブフィードバック機構と呼ばれる.T4は下垂体でもT3に転換され,また甲状腺ホルモン作用として重要なT3核レセプター蛋白が下垂体に多く存在することなどから,この機構にはT3がより重要であると考えられる.
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