増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
酵素および関連物質
膵関連
トリプシン
早川 哲夫
1
,
成瀬 達
1
,
北川 元二
1
1名古屋大学医学部第2内科
pp.116-117
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909774
- 有料閲覧
- 文献概要
膵にはカチオニック(cationic)トリプシンとアニオニック(anionic)トリプシンがあり,正常の膵液には2:1の比で含まれている.これにごく少量のメゾトリプシンが存在している1).血中のトリプシンはα2-マクログロブリン(α2-M)とトリプシン(T)の複合体(α2M-T),α1-アンチトリプシン(α1-A)とトリプシンの複合体(α1A-T),トリプシノーゲン(Tgn)が主な存在様式である.血中にはトリプシンのほかに活性阻害物質や類似活性酵素も共存するので,酵素活性を特異的には測定できない.したがって,血中トリプシンの変動はRIAやEIAを用いた免疫活性で測定している.現在一般に用いられるキットはカチオニックトリプシンを測定するRIAあるいはEIAのキットで,標準物質により測定値が異なる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.