特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
酵素および関連物質
リパーゼ,トリプシン
岡崎 和一
1
,
中山 新士
1
,
富山 尚
1
1関西医科大学内科学第三講座
pp.199-201
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104741
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リパーゼ(lipase)
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
リパーゼは脂質を構成するエステル結合を加水分解する酵素群であり,単にリパーゼと称する場合には,グリセロールの脂肪酸エステルを分解して脂肪酸を遊離するトリアシルグリセリドリパーゼを指す.ヒトリパーゼは,肝臓,胆囊,胃,腸にも存在するが,ほとんどは膵に存在する.
膵リパーゼは膵腺房細胞で合成され,膵液中に分泌される分子量約48,000の糖蛋白で,食事中に存在する中性脂肪(トリグリセリド)の消化・吸収に必須の酵素である.膵リパーゼにより,中性脂肪のα位脂肪酸エステルが加水分解されると脂肪酸となり,小腸で吸収される.リパーゼは生理的には尿中には検出されないが,血中リパーゼ活性は生理的にも認められる.膵管の狭窄・閉塞による膵液のうっ滞または膵の組織破壊が存在すれば,血中へのリパーゼの逸脱が増加することより,臨床的には膵液うっ滞や膵組織の破壊を知ることができる.
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