増刊号 内科医が使う薬の副作用・相互作用
循環器薬
Ic群抗不整脈薬(タンボコール,サンリズム,プロノン)
大田 恵子
1
,
大江 透
1
1岡山大学大学院医歯学総合研究科循環器内科
pp.72-73
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908952
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Ic群抗不整脈薬の主な作用は強力なNaチャネル遮断作用であるが,Ia・Ib群薬と異なり活動電位持続時間には影響せず,強い伝導抑制作用をもっ.副作用のうち特に重要なものは,催不整脈作用と心抑制作用である.前者に関連する重要な研究にCAST(Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)がある.心筋梗塞後の心室性期外収縮に対し,不整脈による突然死を予防する目的で,Ic群薬〔フレカイニド(タンボコール®)とエンカイニド(日本未発売)〕を用いたこの試験では,投与群で心室性不整脈を減少させたにもかかわらず不整脈死・心臓死の発生率がプラセボ投与群よりも有意に高かったと報告され,不整脈治療を見直すきっかけとなった1).その結果を考慮し,同じIc群に属するピルジカイニド(サンリズム®)およびプロパフェノン(プロノン®)においても,心筋梗塞後の患者には原則使用しないこととされている.
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