増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
循環器疾患治療薬
不整脈治療薬
タンボコール(エーザイ)
副島 京子
1
,
小川 聡
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
pp.62-63
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905428
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Ic群抗不整脈薬の催不整脈作用は,CAST(car-diac arrhythmia suppression trial)により知られるようになった1).このスタディは心筋梗塞後の患者の予後は心室性不整脈の抑制により減少するという仮説のもとに,220人の心筋梗塞後の症例を対象に行われたランダマイズドスタディである.その結果Ic群のフレカイニドあるいはエンカイニド内服群では,プラセボに比較して有意に突然死が増加した(9.5%vs3.6%).心室性不整脈が抑制されても生存率改善には結びつかず,かえって死亡率を悪化させることが明らかとなった.陰性変力作用による左室機能不全からの不整脈が生じやすくなった可能性が考えられる.この結果すっかり悪者になったIc群であるが,器質的心疾患のない症例に対してはその限りではない.また,発作性心房細動や上室性不整脈に対して使用された場合,催不整脈作用はほとんど認めないといわれている.
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