今月の主題 「考える」診断学—病歴と診察のEBM
Editorial
内科診断のダイナミズムと基本的臨床技術
福原 俊一
1
1京都大学大学院医学研究科
pp.1412-1413
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907602
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病歴と診察は単なる「技」か?
基本的臨床技術(basic clinical skills:BCS)の重要な構成要素である病歴と診察が本特集のテーマだが,あえてこれに「考える」をつけたのは,診断のプロセスが非常にダイナミックなものであることを強調したかったからである.近年,わが国においてもBCSの重要性が認められ教育に導入されつつあるのは誠に喜ばしいが,BCSを単に「技」に限定するのはいかがなものだろうか?「ダイナミック診断学」と対照的なのが日本の大学の臨床講義やCPCで,一言でいえば「稀な疾患病名あてゲーム」のように見える.ゲームはB4紙1〜2ページのほとんどのスペースを埋め尽くす膨大な検査所見の結果をもとに行われる.回答者の学生は病歴と診察そっちのけで,検査所見と医学書で覚えた病名を結びつける.この教育方法には以下のような問題がある:
・診断・治療選択および解釈における思考プロセスにおけるロジック・ダイナミズムを教えていない.
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