増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
酵素および関連物質
ペプシノゲン
三木 一正
1
1東邦大学医学部第1内科
pp.314-315
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906361
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
胃粘膜内で産生されるペプシノゲンの血中に流入する機序は不明であるが,その1%は血中に流入し,99%が胃内腔に分泌される.血清ペプシノゲンIおよびII値は,主に胃粘膜内主細胞量を反映する.血中ペプシノゲンの排泄は腎からなされるが,代謝機序の詳細は不明である.健常人ではペプシノゲンのIのみ尿中に認められる.異常高値を示す場合は,胃粘膜内での産生が増加しているか,腎からの排泄が減少しているかであり,異常低値を示す場合は,胃粘膜内での産生減少か,胃切除後などの胃粘膜量そのものの減少である.
血清ペプシノゲンI/II比は,内視鏡的胃酸分泌機能検査法であるコンゴーレッド法による腺境界分類でみた胃粘膜萎縮の拡がりとその程度を反映することから,いわゆる“血清学的生検(serologic biopsy)”として,また,最大酸分泌量(MAO)と相関することから,無胃管胃分泌機能検査として使用できる.最近では,胃粘膜の炎症の指標としての臨床的使用法が注目されており,Helicobacter pylori(H. pylori)除菌判定,急性胃粘膜病変(AGML)の血清学的診断として使用できる.
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