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書評「ペプシノゲン法」
大柴 三郎
1
1仙台市医療センター
pp.584
発行日 1999年3月25日
Published Date 1999/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103022
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本書は,現東邦大学三木一正教授がライフワークとして研究された胃癌のスクリーニング法であるペプシノゲン法についての成書である.
胃液内に分泌される蛋白分解酵素であるペプシンの前駆物質ペプシノゲンは,L. M. Samloffにより1969年にグループⅠとグループⅡに大別された.Ⅰは体部腺領域の主細胞・副細胞から,また,Ⅱは噴門腺,体部腺,幽門腺,ブルンネル腺細胞から分泌されることが報告されている.ペプシノゲンは約1%内外が血中に入り,尿に排泄される,したがって,血中のペプシノゲン値は胃の分泌状態を反映し,その組織学的変化とよく相関している.さて,日本人に多発し現在でも年間約5万名の死因である胃癌に対しては,早期発見の目的で胃癌の集団検診が国家レベルで全国的に行われてきた.その中で,一次スクリーニング法としてはX線診断(間接も含め)によってきたが,X線機種の進歩,造影剤の改良などにより,精度は大きく向上している.一方,新しいスクリーニング法の出現も期待されていた背景もある.
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