増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
内分泌学的検査
下垂体
PRL(プロラクチン),LH(黄体化ホルモン),FSH(卵胞刺激ホルモン)
小野 昌美
1
,
三木 伸泰
1
1新百合ヶ丘総合病院 内分泌代謝内科
pp.335-337
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223301
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検査の概要
◆プロラクチン(PRL)
血中PRLは日内変動を示し,夜間睡眠時に上昇する.また,性,年齢,月経周期,妊娠,授乳,産褥,ストレス,食事により変動する.男性より女性で,小児より成人でやや高く,月経周期の排卵期にやや高く,妊娠月数に伴い上昇,哺乳刺激で上昇し,産褥期に除々に低下する,また,ストレス,運動,食事により一過性に上昇する.採血は安静時にストレスを避け,できれば空腹時に行うのが望ましい.食後採血するなら少なくとも1時間以上おくべきである.血中PRL濃度は,測定キットにより最大2倍程度異なる(表1).この乖離には,各社のキットで用いる標準品が異なることが大きく影響している.同一キット内の変動係数(CV%)は10%程度であるが,異なるキット間のCV%は20%程度に達する.
◆黄体化ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH)
LH,FSHの血中濃度は,乳幼児期には高値を認め,その後低下し,思春期までは低値を示す.男女ともにLHは12歳頃より,FSHは10歳頃より上昇して成人レベルに達する.その後,LH,FSHの基礎値は,女性では閉経後に,男性では60歳以降にさらに上昇する.女性の月経周期との関連ではLH,FSH共に排卵期に上昇し,黄体期は卵胞期より低値を示す.また,LHはパルス状に分泌される(律動的分泌/パルス状分泌:pulsatile).LH,FSH値は日内変動,日差変動があるため,複数回測定すべきである.LH,FSHの測定はnon RIA法を用いた数社のキットがあり,同一キット内の変動係数(CV)は5%以下と良好で,異なるキット間のCVは10%程度である.
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