iatrosの壺
肝障害および膀胱炎として入院した男性
井上 徹
1
1住友病院内科
pp.120
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905476
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47歳男性.排尿時痛,残尿感のため1週間前近医受診し,膀胱炎と診断された.アモキシシリン(AMPC),メフェナム酸の投薬を受けるも症状の著明な改善なく,その後肝障害も指摘されたため,本院内科を紹介され入院となった.なお2カ月前の検診では肝障害は指摘されていない.入院時直腸診では前立腺に肥大や圧痛を認めず.検尿:蛋白100mg/dl,RBC50/F,WBC50/F,円柱を認めず.WBC 7,300/mm3(seg 57%,eosin 6%),LDH 612IU/U,AST387IU/l,ALT440IU/l,ALP 24.1KAU,γGTP 210.7IU/l,BUN 22mg/dl,CRN1.Omg/dl,CRPO.3mg/dl,IgE1,444U/l.肝炎ウイルスはA,B,C型とも陰性で,EB,サイトメガロウイルス抗体の上昇も認めず.腹部エコーでは血管腫のみであった.尿培養では一般細菌,結核菌とも陰性.急性肝障害には薬剤の関与が疑われたためSNMCのみとし,他の薬はすべて中止した.患者は上記以外に,アレルギー性鼻炎のために他医にてトラニラストを2カ月前より処方されていた.膀胱炎の原因に薬剤も関与していると考え,尿沈渣のギムザ染色を施行したところ好中球:好酸球=5:1であり,好酸球の増加が認められた.
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