iatrosの壺
ピモベンダンが著効を示した大動脈弁閉鎖不全に伴う心不全の一例
岡田 雅彦
1
1町立厚岸病院内科
pp.118
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905474
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77歳男性で,大動脈弁閉鎖不全(AR)に伴う心不全症状があり,高齢のうえ左室収縮能の低下も高度で,手術時期を失したと考えられる患者が呼吸困難を主訴として入院.外来にてジギタリス,利尿薬,ACE阻害薬,硝酸薬の経口投与を受けており,入院後ドーパミンの少量持続静注,フロセミドの静注などを行ったが,自覚症状はあまり改善しなかった.そこで,ピモベンダン5mg/dayを経口投与したところ,投与当日から自覚症状が著明に改善し,「ものすごく良くなった」とのことであった.退院後1年以上にわたりピモベンダンの投与を続けているが,入院することもなく外来に通院している.
ピモベンダンは,ホスポジエステラーゼ(PDE)阻害作用に加えて心筋収縮蛋白のCa2+感受性増強作用を有する強心薬であり,末梢血管拡張による心負荷軽減作用も併せ持っている.したがってARのような逆流性弁膜症に伴う心不全には有効であることが予測される.
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