知っておきたい産科婦人科の疾患と知識・12
肥満,月経異常と多嚢胞性卵巣症候群
楢原 久司
1
,
江藤 靖子
1
,
宮川 勇生
1
1大分医科大学産科婦人科
pp.1621-1624
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905246
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多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn-drome:PCOS)は生殖年齢女性の約3%にみられ,排卵障害による月経異常や不妊,さらには多毛,にきび,肥満などの臨床症状を呈する症候群である.本邦では,肥満はPCOSの約20%に認められ,肥満のPCOSは非肥満のPCOSに比べて約2倍不妊となる率が高い.一方,肥満女性には月経異常の頻度が高いことが知られているが,PCOSの月経異常と,肥満ではあるがPCOSではない(非PCOS肥満)女性の月経異常が,同一の病態を共有しているかどうかについては一定した見解が得られていない.
本稿では,PCOSの症例を呈示し,病態生理および肥満との関連について概説する.また,内科医として遭遇する機会が多い肥満患者に月経異常が合併した際,PCOSを含めどのような臨床上の問題点があるのかを,産婦人科医の立場から述べてみたい.
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