今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
II 内分泌
【無月経】24.肥満を伴う多嚢胞性卵巣症候群の患者です.
古井 辰郎
1
,
今井 篤志
1
1岐阜大学医学部附属病院成育医療科・女性科
pp.411-413
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101454
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1 診療の概説
1935年にSteinとLeventhal1)が「排卵障害,多毛,肥満,卵巣腫大などを呈し,卵巣の楔状切除により排卵が回復する」症候群を報告したが,現在では多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS)として定着している.PCOSは生殖年齢の約5~10%にみられる内分泌疾患である 2).しかしながら,原因や人種差,遺伝的背景などがいまだ特定されておらず,共通の症状,内分泌学的所見,検査値の異常などからPCOSを規定せざるを得ない.そのため,今までにさまざまな診断基準が提唱され,より病態に即した診断を使用との試みがなされてきている.
2003年に米国生殖医学会と欧州生殖医学会により改訂されたPCOSの診断基準 3)では,多嚢胞性卵巣様の症状を呈する他疾患を除外したうえで,(1)稀発排卵または無排卵,(2)アンドロゲン過剰,(3)超音波上の多嚢胞性卵巣所見のうちの2項目を示すものと定義された.一方日本産科婦人科学会の診断基準では,臨床症状,超音波所見および内分泌的所見に重きが置かれている(表1).近年,インスリン抵抗性が注目されている.
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