今月の臨床 GnRH療法の新展開
GnRHアゴニストによる治療—適応基準と問題点
3.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
水沼 英樹
1
1群馬大学医学部産科婦人科
pp.178-179
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903536
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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は嚢胞性卵巣を有し,内分泌学的には高LH値症と高アンドロゲン値症を特徴とする排卵障害であり,臨床的には高い排卵率であるにもかかわらず妊娠率が低く,早発黄体化や卵巣過剰刺激症候群(OHSS),多胎などの合併症を起こしやすい特徴を持つ.したがって,PCOSの排卵誘発はいかにして妊娠率を上げ,合併症の発生を防ぐかという点に集約される.
従来,PCOSの排卵誘発にはクロミフェンを第一次選択薬として用い,これで排卵や妊娠がみられないときにはゴナドトロピン療法が用いられてきた.ゴナドトロピン療法は,薬剤中のLH含有量の違いによるhMG療法とpure FSH療法に分けられ,また投与方法の違いによってfixed dose法,step down法,low dose step-up法などに分類される.最近の臨床報告によれば,薬剤や投与法を選択することで副作用の軽減化をはかることが可能になっている1).しかしながらOHSSの発生は依然として重要な副作用の一つである.
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