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ここが聞きたい105例の対処と処方
III 不妊症
【多嚢胞性卵巣症候群】61.多嚢胞性卵巣症候群と診断された希発月経の患者です.挙児希望があります.
本田 律生
1
1熊本大学医学部産婦人科
pp.540-541
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101494
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1 診療の概説
多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovaries syn drome : PCOS)は,(1)月経異常に加え,(2)内分泌学的にはLH高値(LH>FSH)を呈し,(3)超音波断層法における多数の卵胞の嚢胞状変化(卵巣表層直下に小卵胞の数珠状集積を認める)によって診断される.ほかにも高アンドロゲン血症に伴う多毛(恥毛の男性型形態)や座瘡を伴うことがある.最近,本症候群とインスリン抵抗性・耐糖能異常との関連が注目され,特に肥満を伴うPCOS例では,高率にインスリン抵抗性や耐糖能異常を合併することが知られている.挙児希望例に限ったことではないが,妊娠合併症やメタボリックシンドロームを引き起こすハイリスク群として,肥満PCOS症例を捉える必要がある.
インスリン抵抗性の評価は,HOMA指数(空腹時の血糖値×インスリン値/405)で行う.HOMA指数が1.6以上の例ではインスリン抵抗性があると考え,さらに糖負荷試験を追加,耐糖能異常の有無を評価する.自験例では,境界型糖尿病と診断される例は肥満PCOS例の44%を占めており,いずれも120分値が140 mg/dl以上を示した.
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