今月の臨床 ホルモン療法—新しい動向を探る
ホルモン療法のポイント
6.多嚢胞性卵巣症候群
安部 裕司
1
,
久保 春海
1
,
平川 舜
1
1東邦大学医学部第1産科婦人科
pp.1290-1291
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902690
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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は1935年Stein& Leventhalが無月経,多毛,肥満の3主徴を伴う症候群として報告したのが始まりである.しかし,その概念が定まらないことから診断基準も現在のところ明確ではない.日母研修ノートによる診断基準1)は,月経異常,無排卵性不妊,血中LH高値(LH/FSH比の上昇),卵巣の多嚢胞性変化,高アンドロゲン血症,男性化徴候の6項目を挙げており,さらに本邦婦人には男性化徴候を示す定型例は少なく,先の4項目を満たす非定型例が多いとしている.
本症候群の治療は妊娠を希望する婦人には排卵誘発を,また希望しない場合には無月経や不正性器出血などの月経異常の改善を行うこととなる,本稿では,これらの治療について現在行われているホルモン療法を主に解説する.
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