今月の主題 糖尿病臨床の最先端
糖尿病発症の分子機構
インスリン抵抗性の分子機構
春日 雅人
1
1神戸大学医学部第2内科
pp.233-235
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904939
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ポイント
●インスリンはインスリン受容体に結合して内在するチロシンキナーゼ活性を活性化する.活性化されたチロシンキナーゼは細胞内にあるIRS(insulin receptor substrate)-1,IRS-2,Shc(src homology/α-collagen-related)などの蛋白質のチロシン残基をリン酸化する.
●このチロシンリン酸化部位に,SH 2(src homology 2)ドメインを介して,PI 3(phosphatidyl inositol 3)-キナーゼ,Grb 2(growth receptor-bound protein 2)・Sos(son of sevenless)複合体,SH PTP-2などが結合する.PI 3-キナーゼは糖輸送活性化の,他の2者はras活性化のシグナルを伝達する.
●インスリン受容体の異常によりインスリン抵抗性を生じた症例は報告されているが,細胞内の情報伝達蛋白の明らかな異常はまだ報告されていない.
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