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渡辺 文子
1
1大手前病院内科
pp.627
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904245
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癌告知をした.正確にいえば,癌再発の告知である.その患者さんは医療従事者で,すでに20年近く闘病生活を送ってこられた.原発部位の手術,化学療法,社会復帰,そして10年以上を経て局所再発した.放射線療法,化学療法に次いで再手術を受け,3カ月に及ぶ機能訓練を終えて退院間近での肺転移発見であった.
初回の治療も局所再発時も,ご自分の病気について理解しておられたとはいえ,「肺転移がきたらもうおしまいだな」と日頃もらしていたことを知っていただけに,事実を話すことはためらわれた.外科系の主治医と何度も検討し,結局ありのまま伝えることにした.こちらの心配をよそに,患者さんのほうがはるかに落ち着いて受けとめられ,そして驚いたことに,その後も治療に積極的であった.胸部外科に相談してほしい,可能性があるなら手術を受けたいなどなど…….
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