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胆道鏡までの4カ月
井上 裕彦
1
1井野病院内科
pp.621
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904242
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当院は播磨平野の田舎にあり,総胆管結石症例が多い.ここへ化膿性胆管炎の80歳の女性が紹介入院.血圧 62/20mmHg,体温 38.6℃,WBC 10,200μl,Plt 34,000μl,CRP 15.8mg/dl,総ビリルビン 3.6mg/dl.バイタルサイン悪く高齢でもあり,経皮経肝胆道ドレナージを施行.5日後,内視鏡的乳頭切開術を行い,総胆管結石除去を試みた.しかし,直径6cmの結石によって総胆管が完全に閉塞されており,ガイドワイヤーが肝内胆管へ入らない.1カ月後,MRSA敗血症を経て小康となり,胆管造影をすると,石は5cmくらいに縮小しており,これは内視鏡的砕石術可能と考えた.
しかし,4人の子供を女手一つで育て上げ,頑固で,自分を中心に世界が回っていると考えている人であった.内視鏡はえらかったから2度とのまないと言い張る(確かに非常に時間がかかった).おまけに,息子は病院内でサングラスをかける性格の方で,廊下でどなり散らし,もっと楽な方法でやれとおっしゃる.そこで,胆道鏡を考えた.しかし,そのためにはドレナージチューブを次々と太い口径へ入れ替えなければいけないし,2カ月は必要である.
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