“ホッ”とspot
S君のこと
大井 宏夫
1
1市川市病院組合立葛南病院内科
pp.629
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904247
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S君は18歳.その年の3月下旬に就職のため郷里の青森から上京.会社の寮に入って研修を受けている最中であった.4月4日に肛門周囲痛を訴え本院外科を受診し,肛門周囲膿瘍の診断で外来で切開・排膿術を施行されたが,その日の夕刻より意識障害が出現し夜間緊急入院となった.168cmで70kgのやや小太りの体型の彼は特別な既往歴もない様子であり,当直医は「精神疾患の疑い」と初期の診断を記載している.
翌朝の緊急検査の結果はglucose 1,416mg/dl,Na 161 mEq/l,尿中ケトン体(+++)であった.大量輸液とinsulinの併用で,速やかに血糖値は200mg/dl台に低下し,意識状態の改善を見たが,翌日の検査の結果はさらにGOT 909IU/l,LDH 5,944IU/l,CK 86,600IU/lという新たな問題の合併を示していた.
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