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消炎鎮痛剤が効果的であった不安定狭心症
中瀬 恵美子
1
1京都南病院循環器内科
pp.599
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904225
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47歳の全身性エリテマトーデス(SLE)の既往を有する女性が,安静時・労作時ともに頻発する胸痛のために入院となった.心電図でI,aVL,V1〜6にて陰性Tを認め,前壁から側壁にかけての虚血状態が示唆された.血液検査では血沈90mm(1h),CRP5.9mg/dl,抗核抗体160倍,抗DNA抗体(RIA)23U/ml,LE細胞(+),WBC 2,500/mm3と免疫学的にSLEの活動性が高まっていた.入院後亜硝酸薬の点滴酸素吸入を行い,胸痛は軽減したが完全には消失しなかった.臥床による腰痛のために,非ステロイド系抗炎症剤(坐薬)を用いたところ,安静時胸痛は完全に消失した.第4病日に抗核抗体は80U/mlに低下したため,副作用を考慮しステロイド剤は使用しなかった.炎症所見が改善した後,選択的冠動脈造影(CAG)を施行した.左前下行枝#6に90%狭窄(smooth tapered stenosis)を認めた.左室造影にて壁運動異常は認めず,心筋生検にて心筋炎は認めなかった.#6に対して経皮的冠動脈形成術(PTCA)を施行し,良好な拡張を得た.約3カ月後のCAGで再狭窄は認めず,エルゴノビン負荷にても冠攣縮は認めなかった.
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