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脚気心による心不全・ネフローゼの一例
内藤 真礼生
1
1メルボルン大学医学部内科
pp.593
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904220
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卒業して早や11年目になり,現在豪州メルボルン大学に留学し,研究生活を送っております.大学病院,一般総合病院などでの臨床経験を通じて,印象に残った症例の一つを今回ご報告します.
症例は20歳の男性で,主訴は労作時呼吸困難,全身浮腫です.14歳時にネフローゼ症候群(IgA腎症)がありましたが,寛解していました.1985年12月より主訴を認め,1986年1月,当院(慶應義塾大学病院)を受診し,心不全と診断され入院となりました.血圧190/130mmHg,脈拍112/分で,III音聴取し,心胸比69%と著明な心拡大を認めました.入院時の検査所見では,血沈18mm/時,尿蛋白3+(8.4g/日),末梢血,凝固系正常,総蛋白5.9g/dl,BUN 12.4mg/dl,クレアチニン1.2mg/dlとネフローゼ状態で,心エコーではびまん性の左室の拡張と運動能低下を認めました.一般的な心不全の治療(安静,減塩,利尿剤投与)で,浮腫の軽減,自覚症状,ネフローゼ所見の軽減を認めましたが,依然として心胸比は57.8%と大きく,高血圧も持続したため,心筋症なども考え,心カテーテル検査も施行したという症例です.
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