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Wegener症候群の治療中に出現した結節影
黒木 茂高
1
1社会保険佐賀病院内科呼吸器
pp.602
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904227
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胸部X線で見つかった腫瘤影が経過とともに縮小した場合,多くの例では炎症像の修復過程として経過観察のみで十分である.しかし,時には十分な精査をして治療が必要な場合がある.
約10年ほど前に苦い経験をした症例を紹介する.70歳台の男性で,発熱ならびに胸部X線で左舌区右上葉の斑状・浸潤影の精査にて入院し,開胸肺生検で肺限局型のWegener症候群と診断された.プレドニゾロン,サイクロフォスファミドが投与され,臨床症状ならびに胸部陰影は著明に改善した.しかし,治療開始後約3カ月目の胸部X線で,右肋骨横隔膜角に淡い直径約2.5cmの,ほぼ円形の辺縁が整の結節影が出現した.陰影周囲には,散布巣はなく,血液検査でも炎症所見はなかった.新たに出現した陰影がWegener症候群の増悪にしては,臨床症状,検査所見が合致せず,経過が早いことより,炎症性疾患,偽リンパ腫,BOOP(bronchiolitis obliterans with orqanizing pneumonia)などを考え,経気管支肺生検をする目的で約2週間後に入院された.
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