増刊号 Common Disease 200の治療戦略
寄生虫・原虫疾患
ニューモシスチスカリニ肺炎
柳原 克紀
1
,
河野 茂
1
1長崎大学医学部第2内科
pp.550-552
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904202
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疾患概念と病態
Pneumocystis cariniiは,常在場所は不明であるが,自然界に広く分布し,ヒトを含む哺乳類の肺に不顕性感染しているものと思われる.また,哺乳類でも,宿主によりヒト,マウス,ラットに感染するP. cariniiはそれぞれ種が異なることが知られている.ニューモシスチスカリニ肺炎は,P. cariniiが宿主の免疫不全に乗じて肺胞内で増殖して,重篤な肺炎を起こす典型的な日和見感染症の一つである.
P. cariniiに感染しても,宿主の免疫能が正常であれば増殖が阻止され,発症することはない.そのため先天性免疫不全患者,長期にわたる免疫抑制療法が行われている白血病,悪性リンパ腫,固型癌,臓器移植患者やAIDS患者など,いわゆるimmunocompromised hostに日和見感染症として発症する例が大部分を占める.症状および症候として,乾性咳嗽,発熱,呼吸困難,チアノーゼなどがある.LDHの上昇も特徴であり,PaO2は病初期より著しく低下する.
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