今月の主題 呼吸器と免疫・アレルギー
免疫からみた呼吸器感染症
ニューモシスチス・カリニー肺炎
岩田 猛邦
1
,
望月 吉郎
1
1天理よろづ相談所病院・呼吸器内科
pp.1150-1152
発行日 1986年7月10日
Published Date 1986/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220435
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Pneumocystis carinii肺炎は,Pneumocystis carinii(以下PC)という微生物によって起こる肺炎である.PCは現在のところ原虫の一種と考えられている.PCはヒトを含む哺乳動物の肺に潜在的に感染しているが,時には不顕性感染の形ではとどまらず,急に肺で増殖し重篤な肺炎をひき起こす.現在このPC肺炎は,悪性腫瘍,腎移植,膠原病などの免疫不全患者の日和見感染症の1つとして大きな問題となっている.近年,予防投与法が全国的に普及し,わが国における発症数は減少傾向を示している1).
最近,後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の肺感染症において,PC肺炎が圧倒的多数を占めることより再び注目を集めているが,AIDS合併症に関しては他稿にゆずることとして,本稿では自験例を中心にPC肺炎を概説する.
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