増刊号 Common Disease 200の治療戦略
寄生虫・原虫疾患
マラリア
狩野 繁之
1
1群馬大学医学部寄生虫学
pp.547-549
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904200
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疾患概念と病態
マラリアは,プラスモジウム属の原虫がハマダラ蚊を媒介して感染する伝染性疾患で,熱帯,亜熱帯のおよそ100カ国に広く流行し,世界の年間マラリア患者数は1億人を越えている.日本人年間海外出国者数が1,358万人となった現在,本邦の年間輸入マラリア患者数も,報告されるだけで100例を越えだした.マラリアは悪寒・戦慄を伴う間欠的な熱発作,貧血,脾腫を主症状とするので,臨床諸家は特に流行地への渡航歴がある発熱者を診たら,まずマラリアを疑うことが肝要である.ヒトのマラリアは,熱帯熱,三日熱,四日熱,卵形マラリアの4種類であるが,特に熱帯熱マラリアは悪性マラリアの異名もあり,診断・治療の遅れが致命的になる.また,既存の抗マラリア薬の治療に抵抗するマラリアも世界中に拡散しており,診断・治療の適切性が以前にも増して要求されてきている.
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