“ホッ”とspot
いったん寛解に入った胆嚢癌の全身転移例
大本 晃裕
1
1市立札幌病院第2内科
pp.549
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904201
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以前私が経験した忘れられない症例をご紹介します.患者は34歳の女性で,某医より全身のリンパ節腫脹の精査目的で平成3年8月当科入院となりました.入院時すでに黄疸と全身の骨痛も認めました.全身の表在リンパ節はるいるいと腫脹し,生検により腺癌のリンパ節転移と判明しました.さらに全身検索により原発巣は胆嚢であり,肝臓,骨,骨髄への転移も明らかになりました.アドリアマイシン,5-FUによる化学療法に著明に反応し,自覚症状は消失,一時10.6mg/dlあった総ビリルビン値も5.3mg/dlまで低下し,本人,家族の希望を酌んで前医にお返ししました.その後もさらに改善し,検血,画像上も全く異常が認められなくなりました.当科入院時3,173.0ng/mlもあったCEA値も3.0>ng/mlとなったということです.前医の担当医もこれには驚き,私のところへ何度も問い合わせの連絡をくれたほどです.
同年11月に退院となり,外来で加療ということになりましたが,残念なことに,余りにも体調が良いためか,家族や担当医の再三にわたる説得も振り切り,通院をやめてしまいました.
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