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特異な経過をとった2例の肺癌
堀川 博通
1
1麻生内科クリニック
pp.569
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904209
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肺癌のみならず,癌により不幸な転帰をとらないためには,一次予防のほか定期的癌検診による早期発見と早期治療が必要であるとされている.ところが,最近,無治療でも患者は無症状で経過する肺小細胞癌と,癌検診で早期発見は困難と思われる肺腺癌の対照的経過をとった2例の肺癌を経験した.
第1例(66歳,男性)は定期検診で右肺上葉S2に3.0×2.5×2.0cm大の腫瘤状陰影が見つかり(1年前異常なし),入院精査の結果,肺小細胞癌の診断(T1N0M0,stage I期)となり,化学療法などが選択されたが,患者が治療を拒否し退院した.以降,無治療下で定期検査を行い,3年10ヵ月後の現在まで腫瘍は発育・増大しているが無症状で,PS0を維持している.胸部X線上,腫瘍は1年(4.5×3.8cm),1年6カ月(2.4×3.0cm),2年(3.0×3.0cm),3年(7.0×6.0cm),3年10カ月(9.0×8.0cm)と一時期縮小し,その後増大傾向をとっている.
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