増刊号 Common Disease 200の治療戦略
寄生虫・原虫疾患
アメーバ症
奥沢 英一
1
,
浅井 隆志
1
1慶應義塾大学医学部熱帯医学・寄生虫学
pp.544-546
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904199
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疾患概念と病態
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)は寄生性の原生動物で,その発育史には2つの形態が出現する.一つは多糖の外壁に囲まれた嚢子と呼ばれる形態で,ヒトの糞便中に出現する.これは休眠状態の虫体で,感染型として重要である.もう一つは運動および増殖能力をもった栄養型と呼ばれる形態で,病変部から検出される.ヒトの糞便に排出された嚢子は,直接あるいは間接に,別のヒトに経口摂取され,これによって伝播が成立する.嚢子は腸内で栄養型に発育し,ここで分裂・増殖する.腸内で増殖した栄養型の一部は嚢子となって糞便中に排出される.
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