特集 いま日常診療で注目すべき原虫症・寄生虫症
アメーバ症
石田 高明
1
,
西山 利正
1
1関西医科大学公衆衛生学
キーワード:
アメーバ赤痢
,
アメーバ性肝膿瘍
,
メトロニダゾール
Keyword:
アメーバ赤痢
,
アメーバ性肝膿瘍
,
メトロニダゾール
pp.211-213
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100555
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
長期持続感染と考えられたアメーバ赤痢の1例
患 者:69歳,男性.
主 訴:便秘,腹部膨満感.
家族歴:特記すべきことなし.
既往歴:昭和27年頃アメーバ赤痢発症,昭和45年再発,いずれも塩酸エメチンで治療された.
生活歴:昭和14年から17年にかけて中国・東南アジアに従軍.
現病歴:平成元年8月下旬,便秘と腹部膨満感のため近医を受診,整腸薬投与を受け症状は改善した.10月9日注腸造影,10月23日大腸内視鏡検査を施行し,生検組織でアメーバ赤痢と診断,11月7日入院となった.
アメーバ症には赤痢アメーバ(Entamoeba hystolytica,E. dispar)(J1)のほかに,湿土,水中に生息する自由生活病原性アメーバ〔Free-living amoeba(Naegleria fowleri,Acanthamoeba spp.)〕(表1)などによる感染が知られているが,本稿では赤痢アメーバを中心に述べる.
赤痢アメーバはE. hystolytica(病原株)と,E. dispar(非病原株)に分類され,両者は光学顕微鏡的には区別できず,アイソザイム分析やPCR法により鑑別する.また,赤痢アメーバ症(アメーバ赤痢:amoebiasis)は感染症法4類(全数把握)に指定されている.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.