増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅶ.専門外来の実際
神経因性膀胱外来
福井 準之助
1
Junnosuke Fukui
1
1聖路加国際病院泌尿器科
pp.311-316
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902946
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1 はじめに
正常の蓄尿一排尿機構は自律神経と体性神経支配下に,膀胱,尿道,骨盤底筋などの臓器が互いに協調性を保ちながら活動しているため,個々の臓器の機能を単独に取り上げた検査で判断すると誤りを犯す可能性が高い。また,下部尿路や骨盤底筋を支配している神経の障害の診断・治療には,神経内科(脊髄疾患,脳血管障害など),脳神経外科(脳・脊髄腫瘍,脳血管障害など),内分泌内科(糖尿病など)などの臨床各科の連携のみならず,神経疾患との鑑別には心療内科や精神科などとの連携も求められる。さらに,薬物に起因した下部尿路機能障害や,術後の末梢性神経障害を範疇に入れると,ほとんどすべての臨床各科の協力が診断および治療を行う上で必要となる。一方,看護部門,ADL獲得のためのリハビリテーション部門,訪問看護ステーション,ケースワーカーの活動の場である社会—心理医療部(social service department)などのスタッフの協力を求めねばならないことも多い。
神経因性膀胱の診断には,基礎疾患を見出すことや障害部位の判定が重要となる。例外はあるが,神経病巣の局在を基に臨床所見と尿流動態検査結果から基礎疾患を推測できることがあり,逆にこれらの所見や検査結果が疾患の局在を予見し得る。また,泌尿器科医以外の人達にも簡単に理解できる分類法を用いることが,疾患に関する検討をする上でも重要と考える。
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