特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
X 腎・泌尿器
7.神経性泌尿器・性器疾患の治療
神経因性膀胱
後藤 薫
1
1天理よろづ相談所病院泌尿器科
pp.1976-1977
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205187
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尿路の神経因性疾患は,一般に認められているよりはるかに高率であり,常に重症となり,しばしば死の転帰をとり,治療も困難である.乳幼児では主として脊髄の先天性奇形に由来し,成人では後天的なものであり,脊髄末梢神経の刺激性,変性,炎症性障害に由来するものである.すなわち,主として脊髄損傷,腫瘍,脊髄炎,脊髄癆,脊髄空洞症などである.脊髄損傷は最近頻発する交通事故のみならず,労働災害も多く補償問題などの重要な社会的事項となっている.このほかに悪性貧血,糖尿病などの全身性疾患にて障害をうける.またHexarnethonium,Pentapyrolidiumのごとき最近の抗高血圧剤,Atropine,Banthine,Probanthineなどの節遮断作用により尿路の神経因性疾患をきたすことがある.
これらの神経因性尿路疾患は,尿路に萎縮,尿流停滞をひきおこし,さらに感染が加わって病変を一層進行させ,複雑化する1).
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