増刊号 Common Disease 200の治療戦略
代謝・栄養障害
インスリン依存型糖尿病
石田 俊彦
1
1香川医科大学第1内科
pp.360-365
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904119
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
疾患概念と病態
糖尿病はインスリンの絶対的あるいは相対的作用不足による慢性の高血糖とWHOにより定義されていることより,一つの疾患というよりも高血糖症候群と考えられてきている.糖尿病は通常インスリン依存型糖尿病(IDDM)とインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)とに分類され,両者ともにいくつかの遺伝因子と多くの環境因子の双方により発症することはよく知られている.糖尿病患者の著しい増加に伴ってIDDMとNIDDMとの鑑別が困難な症例が最近増加していることは,糖尿病をIDDMとNIDDMの2つに分けること自体に無理があり,両者は連続した疾患であり,両者に共通したいくつかの遺伝因子と環境因子が存在している可能性が推察されている.
さて,IDDMの遺伝的疾患感受性としてhuman leukocyte antigen(HLA)がよく知られているが,HLA DRよりもHLA DQがより強く関与している.最近,罹患同胞対法によりHLA領域が関与しているものをIDDM1と呼び,これが一番強く関与していることが明らかにされたが,さらにインスリン遺伝子領域が関与しているものをIDDM2とし,それ以外にもIDDM3やIDDM4の存在が指摘されている.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.