病気のはなし
インスリン依存性糖尿病
田嶼 尚子
1
,
種瀬 富男
1
1東京慈恵会医科大学第三内科
pp.854-858
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202374
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一口に糖尿病といっても,若い人から老人まで,あるいはやせ型から肥満型まで,その病態は様々である.これまでは,そのすべてをまとめて一つの病気として捉えられてきたが,新しい知見が集まるにつれ考え方が変わってきた.つまり糖尿病とはいろいろな原因によるインスリンの作用不足が高血糖やそのほかの代謝異常をひき起こし,その結果長い経過の間に眼底や腎臓,神経などに細小血管障害を発生させるという特徴を持つ,いわば症候群のように考えられているのである.現在,糖尿病はその成因と病態に立脚して大きく,インスリン依存性糖尿病(Insulin-DependentDiabetes Mellitus;IDDM),と非インスリン依存性糖尿病(Non Insulin-Dependent Diabetes Mellitus;NIDDM)の二つに分類されているが,このそれぞれもまた必ずしも均一ではない.ここでは,典型的なIDDMの一症例を呈示し,診断,病態,治療と経過を検討するなかで,IDDMの特徴を浮き彫りにしたい.
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