増刊号 Common Disease 200の治療戦略
代謝・栄養障害
糖尿病性壊疽
紀田 康雄
1
,
柏木 厚典
2
1第二岡本総合病院糖尿病科
2滋賀医科大学第3内科
pp.367-369
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904121
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疾患概念と病態
壊疽は主として下肢末梢にみられる皮膚および皮下組織,骨の壊死性病変で,本邦では比較的稀な糖尿病の合併症であるが,最近増加傾向にあり,おおむね2〜4%の頻度と考えられる.滋賀医科大学第3内科の統計では糖尿病の4.8%と高頻度であったが,地域差もあるようである1).
閉塞性動脈硬化症(ASO)または自律神経障害(動静脈シャント)による虚血が主たる原因で,末梢神経障害による知覚低下,高血糖,免疫能低下も修飾因子として働く.詳細は他の文献を参照していただきたい2,3).足の火傷,しもやけ,深爪,足白癬,靴づれ,水泡などが引き金となることが多く,稀に手指に壊疽を認める場合もある.高血糖状態では感染の抵抗力が減弱しており,皮下組織から骨,骨髄へと感染,壊死が広がっていく.
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