“ホッ”とspot
Endotoxin shockと似て非なるtoxic shock syndrome
片桐 有一
1
1信州大学医学部第2内科
pp.279
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904080
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Toxic shock syndrome(TSS)は黄色ブドウ球菌(以下,ブ菌)の産生する外毒素によって引き起こされる細菌性ショックである.グラム陰性桿菌の内毒素によるendotoxin shockとは,病像は類似するが病態は異なる.Endotoxin shockの診断には菌血症の存在が重要であるが,TSSは微量の毒素でも発症するため菌や毒素の検出は必須でなく,症候から診断される.診断基準は①発熱,②紅斑,③皮膚の落屑(発症1〜2週間後),④血圧低下,⑤多臓器障害(消化管,肝,筋肉,粘膜,腎臓,心血管系,血液,中枢神経系)である.多臓器障害の病像は多彩で,検査所見からendotoxin shockとの鑑別は困難である.特徴的な皮膚,粘膜の所見も軽微な場合もあり,起炎菌不明の敗血症性ショックと診断され,濃厚な治療が施されている場合もあると思われる.しかし,TSSと気づけばスマートな治療も時に可能である.
症例1:20代の女性.来院4日前に乳腺炎に罹患し,その翌日より高熱と混濁尿,咽頭痛,項部痛が出現し来院となった.血圧低下,全身皮膚の紅斑と眼球結膜充血,苺舌などを認め,定型的な症状からTSSと診断した.
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