特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996
1 最近話題の疾患
Toxic shock-like syndrome
五十嵐 英夫
1
Hideo IGARASHI
1
1東京都立衛生研究所微生物部細菌第二研究科
1Division of Bacteriology II, Department of Microbiology, The Tokyo Metropolitan Research Laboratory of Public Health
キーワード:
劇症型A群レンサ球菌感染症
,
A群レンサ球菌
,
TSS
,
TSLS
,
壊死性筋膜炎・筋炎
Keyword:
劇症型A群レンサ球菌感染症
,
A群レンサ球菌
,
TSS
,
TSLS
,
壊死性筋膜炎・筋炎
pp.7-12
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901832
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
わが国においてもA群レンサ球菌を起因菌とする発熱,血圧低下,ショック,壊死性筋膜炎・筋炎,多臓器不全などの臨床症状を呈し,その経過の進行が速く,激烈な疾病である劇症型A群レンサ球菌感染症が散見されるようになった.1992年7月から1995年2月まで,私どもの研究所に92症例から分離されたA群レンサ球菌の精検依頼があった.この92症例の疫学調査を実施した.その結果,年齢では31〜70歳までの患者は68.5%,0〜30歳までの患者は22.2%であった.性別では男性:63名,女性:29名で,男女比は2:1であった。死亡についてみると,男性:21名,女性:15名の計36名で,その死亡率は39.1%であった.分離株のT抗原型別と発熱性毒素型別を行った.その結果,T1型とT3型A群レンサ球菌が全体の約60%を占めており,T3型A群レンサ球菌は発熱性毒素A産生であった.現在でも本症の発症機序は不明である.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.